ミンククジラに逢いに行く!グレートバリアリーフ特集(2014.6-7)(第10回)

ミンククジラクルーズに同乗する可愛いミンキーガールの役割とは?

ミンキーガールのイザベラ(撮影:越智隆治)

TAKA号、Spirit of Freedom 号と一緒だった、ミンキーガールのイザベラ。トップデッキでミンキーを捜索中

「ミンキーガール」…。
これってなんだかわかりますか?

最近、オーシャナのルコちゃんが「椿の女王」として伊豆大島をPRしてるけど、なんかそんな感じで、ミンククジラをPRするためのクィーンズランド州政府観光局に雇用されたキャンギャルかなんか?って思っちゃうような軽〜い感じのイメージがあるんだけど、そうじゃないんです。

ミンキーガールとは、ドワーフミンククジラがGBRに訪れるシーズン、ミンキースイムの認可を持ってダイビングクルーズを催行しているクルーズ船に乗り込んで、リサーチを行なっているボランティアの事。
基本は、Minke Whale Project (以後MWP)がある、クィーンズランド州のジェームズ・クック大学の学生が行なうことが多い。

「じゃあ、何でミンキーガールなの?ボーイはいないの?」とボランティアの女性に尋ねると、基本、歴代女性しかいないそうなので、総称して、親しみを込めてミンキーガールと呼ばれているそうだ。
「何でボーイはいないのかな?」と更に尋ねると「さあ、ボーイはきっと、興味なんじゃない」という適当な回答。

彼女たちが行なうのは、ダイビングポイントなどに姿を見せたミンククジラの船上や水中からの個体数の確認や、ブリーチングや様々な生態行動の確認。
それ以外にも、乗船したゲスト対称にミンククジラやリサーチに関するレクチャーを行なったり、ミンククジラスイミングが、しっかりルールを守って行なわれているかなどの監視を行なうなどの役割も担っている。

ミンキーガールのイザベラ(撮影:越智隆治)

TAKAの船内で、ミンキーレクチャーを行なうイザベラ

ミンキーガールのイザベラ(撮影:越智隆治)

Spoil Sport号内で、ゲストの質問に答える、ミンキーガールのシモネ

なので、このミンキーガールの気分を損ねてしまうと、スイミングにも支障をきたしかねない可能性もある。

今回、3クルーズで2人のミンキーガールと一緒になったのだけど、最初に会った女性は、今年初めてミンキーガールになった学生で、それほどルールに厳しい感じではなかった。
最初にリサーチャーが乗船して、ルールを厳しく監視するって聞いていた割に、何も言われなかったので、ちょっと拍子抜けした。

しかし、2回目、3回目のクルーズに乗船したイザベラは、ミンキーガール歴4年の今年一番のベテランで、昨年にはリサーチリーダーもつとめていた事もある女性だった。

「これは、まずいかも…」と思っていると、案の定、初日からルールに厳しい雰囲気だったので、1回目のミンキーガールにも増して、交流を計ることにした。
まったく何も話さずにいて、撮影でちょっと目立つことでもしたら、きっと目着けられちゃいそうだったし。しかも、2クルーズ一緒だし…。

ということで、暇を見つけては、トップデッキでミンキーを探す彼女の元を訪れて、色々質問などして交流を計り続けた。

そのおかげか、クルーズ船のトリップディレクターが融通を効かせて他のゲストと違う場所での撮影を提案してくれたりしても、厳しく注意される事もなく、むしろ、撮影に協力的に対応してくれた。

それだけでなく、このミンキーガールたち、何故か、本当にキャンギャルみたいに可愛い子が多いらしく、ミンククジラに関しての質問をすることで、国際交流を計るチャンスでもあるかもなんて思ったり。

ミンキーガール(撮影:越智隆治)

まあ、そんな事はともかく、ミンクの事を知りたければ、是非乗船したときに、気軽に彼女たちに質問してみて下さい。
彼女たちも、色々な事を教えるのはとても楽しいと言ってましたよ。

彼女たちから聞いた話では、昨年末に4個体のミンキーにサテライトタグを付けて、一番長い個体で90日間の追跡が可能だったとのこと。
それまで解明されていなかったGBRから移動したミンキーたちがどこへ向かうのかが、オーストラリア東海岸を南下して、GBRから6000kmも下った場所であった事が確認できた。

今年は、さらにシーズン末に15個体のミンキーにサテライトタグを装着して、さらなる追跡調査を行なうのだそうだ。

また、彼女たちは、乗船したゲストに、リサーチのための寄付金の協力や、撮影した写真を、個体識別に利用するための寄付も募っている。

ミンキーガールの活動(撮影:越智隆治)

昨年サテライトタグを装着した4個体の、今年度の目撃情報や写真の提供を求めるチラシが船内に置いてある

3クルーズ目となるSpirit of Freedomのゲストに、ケアンズの新聞社の記者がいて、ミンキーガールのイザベラとミンキーを一緒に撮影した写真を撮ってくれれば、自分が記事を書き、地元紙のトップページにクレジット入りでバーンとでっかく載せるから、協力してくれないかって言われた。

彼女も乗り気で、僕に話を持ちかけてきたのだけど、その記者に、僕がバハマで撮影した、イルカと泳ぐゲストの写真を見せちゃったものだから、「こんな風にマーメイドっぽく、彼女がミンキーと泳いでる写真がいい」とか言われちゃって、イザベラも最初は乗り気になっていたけど、「ちゃんとMWPに連絡して、そんな写真撮っていいのか確認してよね。自分も怒られたく無いから」とこちらが告げると、「そうよね、やっぱりロープから手を離すわけにはいかないわね」とトーンダウンした感じだった。

ということで、何となく、撮影に関しての主導権がこちらに移ってる感もあるのだけど、はたして協力したとして、撮影代ってもらえるのだろうか?
ギャラに関しての話をするのはどうも、苦手です。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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