ミンククジラに逢いに行く!グレートバリアリーフ特集(2014.6-7)(第14回)

オーストラリア・グレートバリアリーフでミンククジラと逢うための情報まとめ

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンククジラ(撮影:越智隆治)

“狙えば確実”の言葉に偽りなし
3クルーズでの遭遇率は100%!

現地ガイドが口をそろえて「ミンククジラ(ミンキー)は時期を狙えば100%見られます!」の言葉を信じてやってきたグレートバリアリーフ。
ミンククジラに逢いにグレートバリアリーフへ! | オーシャナ

結果は、異なる3クルーズに乗船し、遭遇率は100%!
全9日間のうち、水中での遭遇は6日間、遭遇率は67%!(船上からは78%)

ただ、これは、船によってはダイビングメインなので、あえてミンキーの確率が低いポイントを潜ることもありつつの数字。
実際、最も確率の高い「ライトハウスボミー」と「スティーブズボミー」での遭遇率は100%となった。

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンククジラ(撮影:越智隆治)

取材前の“狙えば100%会える”の言葉は大げさではなかったようだ(現地の皆さん、びびってましたが・笑)。

ただ、相手は自然。
たった1回のデータだし、年によっても状況が違うので、賢明な読者の皆さんは100%のギャランティーなどないことはおわかりいただけると思う。

ちなみに、グレートバリアリーフ(GBR)に潜りさえすればミンククジラに会えると思っているダイバーも結構いるらしいが、残念ながらデイトリップ(日帰りダイビング)で会える確率はかなり低い(もちろん、確率は低いがちょくちょく目撃例はある)。

ミンククジラを狙うならダイブクルーズが基本となる。

ミンククジラに会うには、まずは“会いたい!”という意識

実は、同じクルーズに乗っていても、ミンククジラに会えなかった人もいる。

これは、単純に間が悪いということもあるが(笑)、やはり、意識とスキルが大きく左右するだろう。

取材班は明確に“ミンキー狙い”だったので、潜っていても、常に意識はミンキー。
そして、視線も、根から離れた水面付近。

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンククジラ狙いのダイビング(撮影:越智隆治)

ボミーに背を向け、中層をサーチする取材班

自分がミンククジラを見つけた時、ふと、根の方を見ると、多くのダイバーはミンキーに気づかず、通常のダイビングを楽しんでいた。
やはり、「自分で見つけるぞ」という意識を持って、「あの辺を通るかな」なんて考えながら潜ると、会える確率もグッと上がるかもしれない。

また、当然、相手は海洋生物なので、彼らの動きを追うには、水中での身のこなしや、スムーズなボートからのエントリー&エグジットが必要となる。
ダイバーとしてのスキルが高い方が、よりミンキーと長い時間コンタクトできるのは間違いない。

ミンククジラが見られるシーズンはいつ?
印象の変わったGBRのウインターシーズン

現地の皆さんの話から総合した、ミンククジラの出現シーズンと場所。

■5月~6月頭ごろ:目撃情報が出てくる
■6月中旬~7月中旬:本格シーズン(リボンリーフNo.10付近)
■7月下旬:目撃情報が減っていく (リボンリーフNo.3付近)

グレートバリアリーフのダイビングポイントマップ

今回、取材班はミンククジラ狙いでGBRに潜ったが、初めてGBRを訪れるダイバーの中には、ミンキー以外も楽しみたい人も多いはず。

そんな人には、まさに、ミンキーシーズンはオススメ。
世界遺産のサンゴや衝撃のナイトダイビング、さらに、ジャイアントポテトコッドなど、GBRの見どころのたっぷり楽しめる。

オーストラリア、グレートバリアリーフのジャイアントポテトコッド(カスリハタ)(撮影:越智隆治)

GBRアイドル「コッドホール」のジャイアントポテトコッドとこんなに大接近!

日本と逆の季節のケアンズ。
ミンキーシーズンは冬で、個人的にもせっかくGBRで潜るなら夏がよいと思っていたが、日中、街ゆく人はTシャツ&ハーフパンツがほとんど。
風も乾燥していて心地よく、真夏に北海道の避暑地を訪れたような爽やかさだ(朝晩は冷え込むので長袖を)。

グレートバリアリーフ、ケアンズ(撮影:越智隆治)

水温は25~26度で、最も低い時期でも、下がっても23度。20度切ることはまずないだろう。
5ミリにフードベストがあれば、快適に潜れるだろう。
外国人ダイバーは半袖半ズボンで平気で潜っているし(笑)。

高確率のポイントは「ライトハウスボミー」

Minke Whale Projectの調査データによれば、シーズン中、最も出現確率が高いのが、リボンリーフNo.10の「ライトハウスボミー」で61%。
7月中旬以降にメインとなる「スティーブズボミー」は23%。

3頭平均で見られ、25頭も見られたことも!

オーストラリア、グレートバリアリーフのライトハウスボミー(撮影:越智隆治)

最も遭遇率の高いライトハウスボミー。“灯台”の意味の通り、水中にそびえたつ

ミンキースイムってどうやるの?
ミンククジラと人との素敵な距離感

ミンククジラが出現したのを確認したら、スノーケリングで楽しむのが基本。

スノーケリングの流れ

1.ミンキーガール(後述)やクルーがミンキーを発見!

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンキーガール

「ミンキー!」の声が聞こえてくるはず

2.クルーが水面にロープを流す

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンククジラクルーズ(撮影:越智隆治)

クルーがロープを張っている間は海へは入れない

3.3点セットでエントリー

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンククジラクルーズ(撮影:越智隆治)

ウエイト着用は不可

4.ロープにつかまりミンキースイム

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンククジラ(撮影:越智隆治)

ロープに体の一部をつけていなければならない。写真を撮る際はノーストロボ

ミンククジラが近づいてくるわけ

ミンククジラの(泳ぎたい人にとっての)よいところは、一度出現すると、しばらく同じところをぐるぐる泳いでいるので、慌てずに海に入っても十分に遊べること。
そして、個体によっては、文字通り、目と鼻の先までやって来るのだ。

なぜ、これほど近づいてくるのか?

もともと好奇心が旺盛なのもあるのだろうが、“絶対に追いかけない”という厳格なルールが徹底されているからではないだろうか。
おそらく、ミンキーもしばらく観察して、人間は自らはやって来ないと認識し、興味を持って近づいてくるのだろう。

緊張感はあるが、ミンキーからさほど警戒心は感じない。
きっと、「入れ~」「追いかけろ~」というスタイルだったら、ミンキースイムは成り立っていないかもしれない。

自然をリスペクトし、人間が自ら設定したルールのもと適切な距離を保ちつつ、“ミンキーの方から”接近してくる…。

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンククジラ(撮影:越智隆治)

正直なところ、来る前は、自由に泳ぎ回れないことに若干のネガティブな感情もあったが、実際にやってみて、これはひとつの理想形だなと感じた。

ミンククジラとのスキューバダイビング

ダイビングは、偶然“遭遇したら”ウオッチングするスタイルだが、シーズンには、スキューバダイビング中でも遭遇するチャンスがある。
実際、取材班はダイビングでもかなりミンキーに遭遇することができた。

水中で遭遇しても、やはり追いかけずに、アンカーロープやリーフにつかまってウオッチング。

オーストラリア、グレートバリアリーフのミンククジラ(撮影:越智隆治)

アンカーロープにつかまりながらの撮影となる

また、もちろん、厳格なルールはあるものの、スノーケルにしてもダイビングにしても、キャプテンやクルーのスキルや考え方、また、いわば監視役のミンキーガールとの友好関係など、“塩梅”のようなものは存在する。
この辺を見極めて、誰もがハッピーなミンキースイムを楽しみたい。

ミンククジラクルーズに同乗する可愛いミンキーガールの役割とは? – グレートバリアリーフ|オーシャナ

どのクルーズがいいの?
3者3様、目的によって選ぶ

今回、取材班が乗船した、ミンキー狙いのクルーズは3つ。
それぞれ特徴が違うので、目的、予算、好みによって選択しよう。

「ダイブセブンシーズ」(マイクボールJAPAN)スポイルスポート号

【日程】
月曜 7:00 集合
      セスナでリザード島へ → 乗船
      ダイビング3本(ナイト含む)
火曜 終日 ダイビング3本(ナイト1本含む)
水曜 終日 ダイビング3本(ナイトなし)
木曜 8:00 ケアンズ港に到着

【こんな人におススメ】

○とにかくミンキー狙い!
明確にミンキー狙いなので、ミンキーが出れば、ダイビングをやめてでもミンキー狙いというスタイル。また、クルーズのコースもミンキーに合わせて決められるので、とにかくミンキーと心行くまで遊びたい人におススメ!

○日本と同じケア
ダイブセブンシーズは日本人を対象としたダイビングショップ。言葉に不安があったり、海外のダイビングスタイルに不安がある人でも、日本で潜るのと同じ感覚で潜れるので安心だ。

○ラグジュアリーな船旅
全長30mのスポイルスポート号は、設備と居住性を追求した双胴船で、揺れにくい構造のカタマランタイプ。広いラウンジ・バー、サンデッキなど、快適な洋上生活を送れる。1ダイブごとのタオル、インスタントではないコーヒーが飲めるエスプレッソマシーン、ディナーにアルコールの1杯サービスなどサービスも行き届いている。
※2014年ツアー費:2323ドル

「ディープシーダイバーズデン」TAKA号

【日程】
木曜  15:00 集合
    16:00 ケアンズ港にて乗船
金曜日 終日 ダイビング5本(ナイト1本を含む)
土曜日 終日 ダイビング5本(ナイト1本を含む)
日曜日 終日 ダイビング5本(ナイト1本を含む)
月曜 6:30 ケアンズ港にて下船

【こんな人におススメ】

○リーズナブルにミンキー狙い!
最もリーズナブルなクルーズで、その分、他のクルーズほどのサービス。ただ、サービスといっても、タオルを通しで1枚とか、Wi-Fiなし、食事の内容など、単純にかけるコストが他より低いということで、スタッフのゲストに対するサービスの質は高い。問題なく快適に過ごせる。

■990ドル(4人部屋、ツインスタンダード)、1140ドル(ツイン/ダブルオンスィート) ※2014年7月現在

○たくさん潜りたいし、ミンキーも欲張りたい
最大1日5本潜れるTAKA号は、「とにかくたくさん潜りたい!」という人におススメ。ただ、ミンキーシーズンは、キャプテンにもよるが、今回の取材では、かなりミンキーに力を入れるスタイルとなった。ダイビングのスケジュールを基本に動いているものの、ミンキーが出れば、臨機応変にスノーケリングをはさむなど、ダイビングもミンキーも楽しみたい人におススメ。GBR歴15年の日本人ガイド・ヒロさんやGBR歴11年のマサさんがいるのも安心材料。

「TUSA Dive」スピリットオブフリーダム号

【日程】
月曜 11:00 集合
   12:00 ケアンズ港より出港
       ダイビング2本
火曜 終日 ダイビング5本(ナイト含む)
水曜 終日 ダイビング4本(ナイトなし)
木曜 10:00~10:30 リザード島からセスナでケアンズへ
   11:00~11:30 ケアンズに到着

【こんな人におススメ】 

○ダイビング時々ミンキー狙い!
目的はあくまで、3日間コースは「コッドホール」、4日間コースは「オスプレイリーフ」。ダイビングをしっかりやりつつ、ミンキー狙うスタイルで、GBRの名物ダイビングもたっぷり楽しみながら、ミンキーも欲張りたいダイバーにおススメ。

○ラグジュアリーな船旅
まず、専用シェフの作る食事が美味しい! また、かゆいところに手が届く、キメの細かいサービスが嬉しい。例えば、1ダイブごとのタオル、Wi-Fiフリー、インスタントではないコーヒーが飲めるエスプレッソマシーン、ディナーにアルコールの1杯サービスなどなど。上質なサービスを受けながら洋上生活を。
■シェアルームで1,550ドル、ツイン/ダブルで1850ドル ※時期によって変更あり

○日本人スタッフも乗船
国際色豊かなクルーズで、海外ダイバーとの交流も楽しみのひとつだが、言葉の不安を解消するために、日本人スタッフも乗船。洋上生活からダイビングまで、日本語で会話できるので安心。

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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