死なないためのダイビングスキル(第14回)

中性浮力ができなくてもダイバーは死なない。しかし…

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セブ島のフォト派ダイバーのシルエット(撮影:越智隆治)

水面で自分の体が浮かせて、水面を少し移動、潜降。
その場から泳ぎまわらずに、辺りをじっくり散策してから浮上し、水面移動して、エントリーポイントに戻れば、バディ潜水でもダイビングができます。

これは、私が今までに書いてきた「死なないための4つのスキル」はできていることが条件です。

死なない為の4つのスキル

  • 水面で自分をしばらく浮かせていられるウエイトで潜れる
  • レギュレータの呼吸がコントロールできる
  • マスク無しで落ち着いて呼吸ができる
  • エアーの管理が出来る

中性浮力ができなくてもダイビングは楽しめる!?

ダイバーの中で、バディ潜水をCカード取得後にすぐに行ったことのある人は少ないはずです(というか日本ではほとんどいないのではないだろうか?)。
※PADIは今年の試行期間を経て、来年から海洋実習の最終ダイビングでバディ潜水(インストラクターの監視付き)が義務付けられる予定です。

水中で、自由に自分のペースで、海の不思議や生物をじっくり観察することは楽しいのです。
また、水中での楽しみは生物観察だけではないはずです。水中での感じ方(感性)は一人ひとり違うはずです。

エントリーして動かずに、目の前の生物や岩の下を観察し、陸上にない水の中に包まれている感覚などの五感をフルに発揮して、海(水)の中を感じてみるのも楽しいはずです。

体験ダイビングされたことのある人なら、目の前に魚がいるだけで感動したり、水の中で息ができるだけで感動したはずです。

中性浮力ができなくても、確かにダイビングは楽しいものです。

中性浮力ができないと迷惑をかける

ただ、日本のダイビングは、ほとんどがガイドに連れられて潜ったり、グループで潜るタイプだったりするために、ダイバーのある意味“没個性化”が起きていると私は感じています。

ガイド潜水やグループ潜水が悪いわけではありません。
しっかりしたガイドやグループリーダーに管理されたダイビングは、スキルが未熟な方でも海を楽しませてきたはずです。

でも、しっかりと講習を受ければ、自分の責任で、自分のスキルに合った(ダイブマスターにアドバイスを受けることは良いことです)ポイントでのんびり潜り、自分の感性で海を楽しめる人は多いはずです。

しかし…、中性浮力ができないと他のダイバーに迷惑をかける。

ガイドをした事のある方ならだれでも感じることです。
中性浮力のできないダイバーは移動できないし、移動させると、

  • 砂を巻き上げる
  • サンゴを蹴って折る
  • エアーは早い
  • パニックになりやすい
  • 流れがあると移動できなくなる

などなど、困ったダイバーだと思われます。

ですので、バディでエントリーし、すぐに潜ってじっとしているダイビングスタイルで、サンゴのないところで、砂が巻きあがらないポイントで、ダイビングするなら迷惑はかけないはずです。
潜るポイントをご自分のスキルに合った場所を選び、

  • 目の前の生物をじっくり観察したり
  • 水中の無重力感を全身で感じたり
  • 陸上と違う音を感じたり
  • 肌に触れる水の動きを感じたり

などなど、自分なりの楽しみ方をバディで楽しめば良いのではないでしょうか?

死なないための4つのスキルを完成したら、バディで異次元の海(水)の中を感じる感性は誰にでもあるでしょう。

なんで中性浮力がダイバーに必要なの?

潜降した地点でじっとして動かずに、空気が少なくなったら浮上しエキジットすれば中性浮力が上手でなくてもダイビングが楽しめます。

でも、

  • もっと広い範囲を自由に泳ぎまわりたい
  • 浮遊感を楽しみたい
  • ガイドについてエリアの珍しい生物を見たい
  • ドリフトダイビングで大物を堪能したい

こんな風に海を楽しみたいなら 呼吸・バランス・フィンキックのスキルと器材バランスを考えた中性浮力スキルが必要なのです。

<つづく>

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PROFILE
九州は小倉に生まれ、法政大学アクアダイビングクラブでダイビングを始める。

学生時代からインストラクターになり、認定したダイバーは数千人、NAUI時代にコースディレクターとしてインストラクターも多数養成。

インストラクターの集まったNPO日本安全潜水教育協会(JCUE、ジェイキュー)会長、雑誌「月刊ダイバー」ではDUKEヤマナカとしてダイビングテクニックのアドバイザーなどなど、比較的スキルや安全のことに比重を置いて活動している。
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