サンゴ礁を科学する(第6回)

ダイバーだからできる、サンゴ保全のボランティア活動

セブ、スミロン島のサンゴとデバスズメダイの群れ(撮影:越智隆治)

スキューバダイビングに出会い、初めて水中で呼吸できて感動した、世界観が変わった、という経験は多くのダイバーに共通すると思います。
私自身もスキューバダイビングを始めて、それまで水上だけだった行動範囲がずっと広くなった事に胸の高まりが止まらなかった事を覚えています。

正直、それは今も止まっていないのかもしれません。
このスキューバダイビングというツールを通して、楽しい仲間と出会い、遠くの海へ旅行に行ったり、水中撮影にはまったり、海洋生物の名前を覚えたり、いろんな楽しみ方を深めていけることもダイビングの魅力ですよね。

深め方はいろんな所に入口があるのですが、今回はサンゴに関するボランティアダイビングの一部をご紹介させていただきます。

サンゴのためにできること

ダイバーであることを生かして参加できるボランティアには、ダイビングショップ、サービス主催のタイプと、個人で行うタイプの2つの形があります。

ダイビングショップ主催の活動にはオニヒトデやレイシガイなどの駆除活動、サンゴ苗の植え付け活動、リーフチェックなどがあり、それぞれ主催しているショップさんに申し込んで参加します。

リーフチェックとは、1996年に始まった世界的なサンゴ礁モニタリング及び啓発活動で、日本のサンゴの分布域各地でも定期的に開催されています。

決められたエリアの底質、魚類、無脊椎動物を実際にボランティアダイバーたちの目で見て、記録して過去のデータと比較するものです。

和歌山県の数地点で参加させて頂いた時には、「この年の夏は大きな台風が来たからサンゴの被度が減って、今は回復途中にある」など、自分が潜り始める以前からの底質と生物の移り変わりを、長年の記録として見せて頂き、続けていらっしゃるダイバーさんたちからお話も伺う事ができて、とても興味深かったですよ。

サンゴとリーフチェック(提供:座安佑奈)

リーフチェックの様子。陸で事前に予習した調査項目を海中で各自データシートに記入していく

個人で行うボランティアにもいろいろあります。

ダイビング後のシャンプー剤について見直してみるなど、すぐにできることや、ビーチクリーン(海岸清掃)や水中で自然に分解されない人工ゴミを拾って帰る活動にはすでに取組んでおられる方も多いかもしれません。
これらも海の自然、そしてサンゴへのダメージ軽減に繋がっていることでしょう。

ここではサンゴの白化情報や産卵情報を登録する活動について紹介します。

白化はサンゴの健康状態の簡単な指標であり、どんな環境下でどれくらい白化したのか、より多くの情報が集まる事で、海で実際にサンゴに起きている異変が見えてきます。

白化しているサンゴ(提供:座安佑奈)

部分的に白化したり死んだりしてきているサンゴ

日本全国サンゴマップ(国内の白化、産卵データベース)

サイト左上の「サンゴマップを見てみる」から過去に提供された情報を見てみて下さい。
サンゴの白化や産卵を目撃した方は情報提供ができますよ。
投稿先→サンゴマップ投稿フォーム:ログイン画面

Coral Watch 世界規模のデータベース

オーストラリアのクイーンズランド大学では、2002年から世界中の人が参加できる白化情報のデータベース作りに取り組んでいます。
CoralWatch

リクエストをすれば送ってもらえるコーラル・ヘルス・チャートを持って海に入れば、ダイビング業者さん、科学者、学生さん、レジャーダイバーの方々、どんな人でも参加できます。

’Download’—‘Monitoring Materials’から日本語マニュアルやデータシートも手に入れる事ができますよ。

サンゴ健康状態チャート(提供:座安佑奈)

サンゴ健康状態チャートと結果の一例

ダイビング部など、仲間と活動している学生さんたちや、いつものダイビングにちょっと変化が欲しいダイバーさんはぜひやってみてくださいね。

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writer
PROFILE
沖縄出身の父に連れられ海に通い、水中にいることが大好きで、中高は水泳部。

大学入学と同時に始めたスキューバダイビングに夢中になり、海中世界を知って欲しいとダイビング雑誌で読者モデルをする傍ら、キラキラした南国の海で、いつも中心にいるサンゴという生物に強く惹かれていく。

大学院は京都大学理学研究科に進学し、サンゴについて学び始める。
英領バミューダにあるバミューダ海洋研究所に留学後、2013年度、京都大学瀬戸臨海実験所にて博士号取得。

現在は沖縄科学技術大学院大学でサンゴの研究に取組んでいる。
趣味でも仕事でもよく潜る。