なぜ日本のサンゴは世界に誇れるのか?「サンゴ礁を科学する」新連載
オーシャナ読者の皆さま、はじめまして。
この春から沖縄でサンゴの研究に取り組んでいる座安佑奈(ざやすゆうな)と申します。
これからが夏本番。
今年の夏はどこへ潜りに行こうか計画中の方も多いのはないでしょうか?
実は、日本はサンゴ礁を楽しむ場所として、(もちろんサンゴ礁研究にも)適した場所だとご存知でしたか?
今年は改めて日本の南西諸島の美しいサンゴ礁へ遊びに来られてはいかがでしょうか?
私自身は大学入学と同時にスキューバダイビングを始めて夢中になり、もともと大好きだったサンゴ礁の海の中で世界一美しい海を見てみたい!と、経験豊富なダイバーの知合いや世界中を潜っている方に候補地を聞いてみたり…。
最初は、やはりサンゴ礁といえばミクロネシアの島々やグレートバリアリーフへの憧れがありましたが、自分がサンゴ礁研究に関わるようになってからは日本のサンゴ礁の良さを実感しています。
日本には南北に長い弓なりの国土と多くの島があり、緯度の大きな変化に伴って色々な海洋生物が生息しています。
そのため、魚類や無脊椎動物などの海洋生物学の研究は古くから盛んでした。
世界に誇る日本のサンゴ礁
サンゴ礁については、日本にはさらにアドバンテージがあります。
まず日本は、太平洋側を流れる暖流・黒潮の影響を受けて、地球上で最も北まで造礁サンゴが分布している場所の一つです。
北限のもう一つに大西洋の北米東海岸付近がありますが、大西洋よりも太平洋の方が深い水深と長い歴史のおかげで海が豊かですので、生息するサンゴの種類も太平洋の方が多いことが知られています。
つまり、日本周辺には地球上の他のどこにもない、緯度ごとに変化に富んだ多くの種のサンゴが見られる海があります。
この私たちの美しい海をずっと残していきたいですね。
二つ目にサンゴ礁へのアクセスのしやすさがあります。
いずれこのコラムで紹介しようと思っていますが、サンゴ礁地形にはいくつかタイプがあります。
日本で見られるサンゴ礁の多くが、陸地の沖に海岸に沿って帯状に作られたサンゴ礁で、陸から泳いで行けますし、遠い場合もボートで数分です。
その分、私たちの生活がサンゴ礁生物に悪影響を及ぼさないように配慮が必要となります。
グレートバリアリーフはまた違うタイプの地形ですので、陸から遠くクルーズで2時間程かかりますね。
欧米にも多くのサンゴ礁研究者がいますが、数週間ほどアジアの島々へ出張して調査などを行っていると聞きました。
中には日本に調査に来られる方もいらっしゃいます。
サンゴ礁が多く分布するアジア諸国の中で日本は、器材や実験に使う試薬を手に入れやすい先進国であるという点も、研究を進める上で大きなメリットでしょう。
これら利点を生かして日本では多くの研究者がサンゴ礁研究に取組んでいます。本コラムではサンゴ礁を科学する、特に若手の人々と、彼らが取組んでいるサンゴ礁のふしぎについて、僭越ながら私がナビゲートさせて頂く予定です。
どうぞよろしくお願いします。
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