サンゴの研究者が提案! ダイバーが意識すべき6つの潜り方
レジャーダイバーによる海の生き物への悪影響について研究している科学者は世界的に少なくない、ということはそれだけ悪影響があるという事実の裏返しですから、私もダイバーの1人としてそのような報告を聞く時はいつも耳が痛いです。
また、オニヒトデ駆除活動やサンゴ移植活動に参加者の方で、潜っていてサンゴを破壊してしまったことがあるから罪滅ぼしと思って、と参加した理由を申し訳なさそうに教えてくれた方に出会ったこともあります。
楽しいはずのサンゴいっぱいのポイントでのダイビングで、相当な罪悪感を持たれたのでしょう。
しかし、接触による物理的な破壊はちょっとしたポイントと工夫で減らせる、むしろなくせると思います。
今回は生き物に優しい潜り方についてまとめてみたいと思います。
1.中性浮力をばっちりとる(スキューバダイビング時)
何といってもこれが1番。
自分の適正ウエイトを知り、BCのバックルを適度に閉めて、タンクがぐらつかないようにしてバランスよく潜りましょう。
ゲージやオクトパスが引っかからないようにするホルダーやカラビナなどのグッズもありますよ。
ダイバーの経験本数とサンゴへのダメージを与えてしまう回数は比例するという複数の報告があります。
しかし重要なのは本数ではなくスキルですので、本数が少ない方でも中性浮力がしっかり取れていれば、サンゴを折ってしまうのではないかという無駄なストレスを感じなくても大丈夫です。
2.サンゴは見るだけ(シュノーケル、スキューバダイビング時)
サンゴに関しては、“Look, but please don’t touch.”という基本理念が当たり前になってきています。
サンゴの骨格は炭酸カルシウムでできていて硬い部分もありますが、生きているポリプが入っている部分の骨格はとても薄くて繊細なものも多く、人が握っただけでつぶれてしまうような物も多くあります。
賛否両論ありますが、海外では、サンゴのみならず生き物に安易に触らないことを目的としてグローブの着用を制限している海域も多くあります。
グローブをつけていてもうっかりウニに手をついてしまえば痛いですし、うっかり毒のある地味な生物(イラモやシロガヤなど)に触ったことに気づかず、そのグローブで顔を撫でれば大変ですので、必ず触る所は目視することをオススメします。
3.フィンワークに気をつける(シュノーケル、スキューバダイビング時)
砂地で砂を巻き上げないようにするのと同様に、枝状サンゴの多い海域でも注意してみると、蹴ったり引っ掛けたりといった接触は、かなり減らせると思います。
ガイドさんや潜るのが上手な人の足さばきを観察して真似してみるのも上達の近道かもしれません。
4.上に立たない(シュノーケル時)
日本で一番守られていると思っていた国立公園内の海域公園内でもこんな被害を目撃。
ウエットスーツは億劫でも、浮き輪やシュノーケルベストなど浮力のあるものを持っていくと、サンゴの上に立たなくてすみますし、安全面でも安心ですよ。
一番、接触と破壊の頻度が高いと報告されているのは枝状サンゴですが、触ってしまった時に一番破壊されやすいとされているのはこのような葉状のサンゴです。
このような形のサンゴには指でつかんだだけで崩れるような非常に薄くもろい骨格を持つ種類も多いです。
私も潜水調査中に水中で荷物が多くてバランスが取り難い時などは、なるべくこういうサンゴからは離れて泳ぐようにしています。
5.プレダイブ・ブリーフィング(スキューバダイビング時)
今回、調べていて改めて気づかされたのがプレダイブ・ブリーフィングの大切さです。
地形や海況、安全面についての説明はもちろん、そこで一言、注意喚起されるだけでサンゴへのダメージが半分以下に変わるのだなと興味深く思いました。
それはつまり、それぞれのダイバーがちょっと意識するだけで、ダイバーの接触による物理的な破壊は「なくせる」ものであるということだと思いませんか?
6.アンカリング(投錨)をしない
ダイビングボートだけの問題ではありませんが、船のアンカー(錨)が当たれば、サンゴはひとたまりもありません。
生物へのダメージを緩和するためブイが設置されている海域も増え、アンカーによる被害は昔の話とお考えの方もいるかもしれません。
しかしこちらも先週、国立公園内で見つけたものですので、現在進行形で考えていくことが必要です。
※
こうしてまとめてみると、生き物に優しい潜り方は、私たちが快適に安全に楽しめる方法と直結しています。
少しの気遣いで、みんなで美しい海を長く楽しみたいですね。
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