STOP! 水没ミラーレスハウジング 修理依頼から考えるメンテナンスのコツ
ダイバーに人気のコンパクトデジカメOM SYSTEM(旧OLYMPUS) TGシリーズからのステップアップの受け皿になっているOM SYSTEMミラーレス機とAOIハウジング。購入しやすい価格帯と今までに無いお洒落なデザインとコンパクトなシステムから多くのビギナーフォトグラファーに愛用されています。
もちろん私もOM SYESTEM OM-1MKⅡとAOIのハウジングUH-OM1の愛用者。マクロ撮影用システムとワイド撮影用システムをそれぞれ2セット準備して万全なバックアップを準備して撮影に向かいます。ハウジングは発売開始前からの開発テストで使用していたものをそのまま使っているので、そろそろ3年近くになります。
少なく見積もったとして、週に2度使ったとしてザックリ数えて300日以上の使用状況になりますが、未だオーバーホールしていません。もちろん水没はありませんし、押しづらいボタンや動きの悪いダイヤルもない状態をキープしています。外装は擦り傷だらけですが。
そんな私のOM-1用のハウジングも、さすがにここまで使うとハウジング内部の圧力をモニターしたり、フラッシュ信号を発したりするマルチファンクションユニットの交換時期が来たようです。加えてインナーバッテリーのスタミナも弱ってきました。
AOIハウジング、Q1RCストロボ、レンズポートは、香港からの輸入品ですが、多くの製品の修理サービスは日本国内で行っています。
AOIのハウジングも多くの方がお使い頂くようになり、修理依頼も増えてきました。その修理依頼も様々な内容になりますが、特に多い修理依頼をリストアップしてみましたので参考になれば。依頼数が多い順に並べると、下記が代表的な修理依頼の内容になります。
- バキュームバルブの水没
- ボタンの固着からのリーク
- モイスチャーセンサーの腐食
なぜ、このようなトラブルが発生するのでしょうか? 個々のトラブルを検証して、予防策を考えていきましょう。
トラブルその1:バキュームバルブの水没
バキュームバルブが水没するとハウジング内に海水が入ります。カメラが一気に水浸しになる程勢い良く流れ込むことはありませんが、水没するとバキュームリークセンサーを使ったリーク防止システムを使うことができなくなります。
具体的には、ダイビング前にOリングのメンテナンスを行い、バキュームリークセンサーのスイッチをONにしてポンプでハウジング内の空気を脱気して陰圧にします。その時にバキュームバルブが水没していると、脱気ができずにエラーになってしまいます。要するにOリング部分からのリークはないのですがバルブから空気が漏れてしまうためです。
バキュームバルブの水没への対応策1
グリスアップ
AOIのハウジングを購入したら、最初に行って欲しいことでもありますが、バキュームバルブのOリングをしっかりグリスアップします。ここのOリンググリスが切れるとバルブキャップの水密が保てなくなりバルブが水没します。またキャップのネジが回しにくい場合には、ネジ部分にもグリスを塗布。またグリスアップに使用するシリコングリスはAOIハウジング用を使用してください。
バルブ水没のトラブルで修理に入ってくるハウジングは、このOリングのメンテナンスができていない場合がほとんど。TGシリーズにはなかったシステムなので、TGからステップアップされた方は陥りやすいトラブルと言えるでしょう。
バキュームバルブの水没への対応策2
バルブを開ける前に水分を飛ばす
ダイビング後にバルブを開ける前に、バルブ周辺の水分を吹き飛ばして、不織布で丁寧に水分を吸い取ります。そうすることでバルブを開けた時に海水が隙間から入り込むのを防ぎます。
バキュームバルブの水没への対応策3
Oリングのこまめな交換
バキュームバルブは細くて柔らかいOリングで、他の箇所のOリングに比べて回転しながらセットされるので傷みやすいと言えます。取り外し時によくチェックをしてサイズが変わっていたり傷があったりする場合には迷わず交換しましょう。
予備のOリングが購入時に1セットありますが、AOIは交換用のバキュームバルブOリングを準備しています。
バキュームバルブの水没への対応策4
水没した場合はすぐ点検
ダイビングが終わってハウジングを開けるときにバキュームバルブを操作して内部陰圧を解除しますが、キャップを開けた時にキャップ内やバルブに海水が付着しているようであれば、バキュームバルブの水没です。これ以降はハウジングの使用を止めてハウジングを点検に出します。このまま使い続けると、使用の度に海水が少しずつ侵入してバルブ付近の部品が塩害によって腐食します。
トラブルその2:ボタンの固着からのリーク
ハウジングに付いているボタンは錆びにくいステレンス製のシャフトを介してカメラのボタンを操作しています。そのステレンスのボタンシャフトも使用後のメンテナンスが悪いと腐食が起きます。「腐食=錆」の発生なのですが、表面に錆がついた軽い状況の場合もあれば、シャフトに傷が出来るほど腐食が表面だけに止まらない重症のケースもあります。
ボタンの動きが悪い、ダイヤルの操作感が良くないなどの症状はシャフトのトラブルのサインです。重症になる前にメンテナンスに出してください。動きの悪いボタンやダイヤル、レバーに機械用の潤滑油やシリコンスプレーなどを吹くと、防水に使用しているOリングを変質させサイズを変えてしまうことがあるので厳禁です。ご注意ください。
ボタン固着からのリークへの対応策
真水での洗浄
ボタンシャフトは、使用後の洗浄不足でも起こります。海水中での撮影後には真水につけて洗うことが必要です。
つけ置きした後にボタンを押してボタンホール内にある海水を取り除きます。ダイヤルやレバー部分は、ダイヤルを回転させて入り組んだダイヤル付近の海水を取り除きます。暖かい真水は塩分を溶かすのにも有効なので使用をお勧めしますが、つけたままにして温度が下がってしまうと逆効果なので注意が必要です。
トラブルその3:モイスチャーセンサーの腐食
下の写真は、バキュームバルブから侵入した海水がマルチファンクションユニットに入り込みユニット内部の電気基盤を腐食させた例です。ここまで腐食が進むとユニットの交換が必要になります。費用もなかなか高価。カバー内に隠れているので気が付かない場合も多いようです。
これは、トラブル1のバキュームバルブの水没が大きな原因の一つです。侵入した海水が他のパーツに付着して故障を引き起こす例です。
対応策としては、バキュームバルブの水没を防ぐことなので、トラブル1に対する対応策1〜3を実践していただければ、防ぐことができるでしょう。
というわけで今回はAOIハウジングのメンテナンスのコツをご紹介させて頂きました。
他のメーカーのハウジングはメーカー毎に細かい使用法が定まっていると思いますが、基本的には大きな差はないと思います。すべての水中撮影愛好家さんの為になれたら嬉しいです。
AOI製品のメンテナンスはフィッシュアイさんに窓口をお願いしていますので、何かあればフィッシュアイカスタマーサービスへご連絡ください。
〒171-0052 東京都豊島区南長崎5-29-7
Tel 03-5988-0191 平日(11:00-17:00)水曜のみ(13:00〜17:00)
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弊社のAOIブランド製品の保証およびサポートは、弊社が日本国内で販売している国内向け仕様の製品が対象です。非正規ルートで購入された製品、輸入品(海外仕様製品)のサポートは行っておりません。
弊社では、自社基準に基づき製品を選定。受入検査等の品質管理を行ない、販売元を明記した保証書を同梱しております。
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