ミラーレス一眼 水中撮影徹底ガイドby清水淳(第17回)

動きが速い被写体のマクロ撮影〜マシンガン・マクロシューティング〜

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OM SYSTEMからOM-1がデビューして、早くも1年半が過ぎました。新方式の「積層型撮像センサー」、動体被写体の撮影に有効な「被写体認識機能」、暗闇でも被写体が見える「Night View」など最新の技術が惜しみなく搭載されたOM-1。この1年半の間にさまざまなカメラメーカーから新製品が登場して魅力的な新機能を搭載していますが、未だに、OM-1を選ばない理由が見つかりません。動画撮影の最高画質が4K60Pという点はライバル機に対して若干寂しいところですが、4Kが一般的な再生デバイスなので普段の撮影ではまったく問題がありません。

今回の記事では、このOM-1のハナダイなど動きの速い被写体に対する高い撮影能力をフルに活かす撮影術をご紹介します。

OM-1&AOI UH-OM1+AOI Q1RCをフルチューニング!
速い動きのマクロ撮影に強い理由とは?

スズメダイやハナダイなど動きの速い被写体の撮影では、ピントがなかなか合わなかったり、画角に被写体が収まらなかったり、苦労することも多いのではないでしょうか。

OM-1&AOI UH-OM1+Q1RCを組み合わせることで、動きの速い被写体の撮影が格段にしやすくなります。具体的には下記のような撮影システムをおすすめしています。

撮影システム

OM SYSTEM OM-1
OM SYSTEM OM-1

カメラ:OM SYSTEM OM-1
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL 90mmF3.5Macro IS PRO
ハウジング:AOI UH-OM1
レンズポート:AOI FLP-08 + AOI ER-37 PN_OD
ストロボ:AOI Q1RC + SC-01(ストロボカバー)、SD-02(ストロボ拡散板)
ブラケット:MPBK-02
拡大鏡:AOI UMG-01
アーム:AOI (試作品、発売日未定)

オオテンハナゴイとアカボシハナゴイ

作例:オオテンハナゴイとアカボシハナゴイ

カメラ

OM SYSTEM OM-1

絞り値

f 8.0

シャッター速度

1/250

ISO

ISO800

ドライブ

低振動モード 5fps

被写体認識

ON(鳥)

ストロボ

AOI Q1RC. マニュアル1/4発光

なぜ、OM-1&AOI UH-OM1+Q1RCの組み合わせが、動く被写体のマクロ撮影に強いのでしょうか。一つひとつ機能を解説していきます。

OM-1/Night Live View

暗い環境でも明るくハッキリと被写体を確認できる機能です。暗い環境でフォーカスライトを点灯させると、被写体が嫌がり隠れてしまい、撮影ができなくなる場合が多いものです。しかし、この機能を使えばフォーカスライトが不要になります。Night Live View Onの時には、モニター画面下部に「Night LV」と表示されます。

Night Live View OFF.の画面

Night Live View OFF.

Night Live View ONの画面

Night Live View ON.

OM-1/被写体認識

OM-1に標準装備された被写体認識機能は、被写体の種類を指定することによって固有の動き方や被写体の形などを考慮して、画面中にある被写体認識を自動で判別してフォーカスを合わせます。さらに動物であれば「目」を探して ピントを微調整する機能です。他社製のカメラを含めてこの機能を使い比べてみましたが、OM-1の被写体認識は完成度が高く、別格だと感じました

水中で魚の撮影では、魚の形にもよります被写体認識「鳥」が有効です。鳥のようにくちばしがあって尖っているようなシェイプの魚は、判別しやすいようです。今回の撮影では「ハナダイ系」を狙ったのですが、マッチングは良好でした。

まれに狙っていない魚を追いかける場合もあるので、手元で押しやすいISOのボタンに「被写体認識」を割り振っておいて、瞬時に機能をストップさせる方法もセットアップしておきます。

被写体認識が作動して被写体を認識すると、モニター上に白い四角い枠が表示されます。さらに四角い枠内で被写体の目に当たる部分を探し始める機能には感動します

設定したAFターゲットの位置に関わらずに画面全体からサーチするので、被写体がいる方向にレンズを向けるだけで、認識して追尾するほどうまくいく場合もあります。

OM-1/操作性

ビューファインダーにマスクを押し当てて被写体とやり取りしている最中に、顔を上げて被写体からターゲットロックオンを外さなくても操作ができます。このカスタマイズ性が抜群に良いところは、大きなメリットです。各種ボタンやダイヤルに、呼び出したい機能や調整したい絞り、シャッター速度、ISO感度、AFターゲッターの位置、被写体認識のON/OFFを設定しておくことができるのです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズ

OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズ。35mm換算で180mmになる望遠マクロレンズで、最大倍率4倍と超高倍率を誇ります。

臆病な被写体でも、やや離れた位置から脅かさずに、自由に動き回るシーンを撮影したい。そんな夢が実現できるマクロレンズです。ハゼやハナダイの撮影が好きな私にはもってこいの撮影ギアになります。IS機能(手ブレ防止機能)が搭載されて、望遠レンズとしての魅力も格段とアップしました。
私はポート挿入時にマニュアルフォーカスギアがズレないように、輪ゴムを装着しています。

AOI UH-OM1/LEDフラッシュトリガー(マルチファンクションユニット)

AOI OM-1に標準装備されるLEDフラッシュトリガーは充電式です。容量の小さいボタン電池ではないので、使い捨てにならず環境にも優しいと言えます。カメラと接続して連動するので、カメラのメイン電源がOFFになると自動でLEDフラッシュトリガー機能もOFFになり、前日の夜にメンテナンス&セットアップを行ってもバッテリー切れの心配はありません。カメラ側の高速連写にもある程度追従するので、目で見て判断ができないほど素早い被写体の動きを止めて撮影することも可能になります。OM-1純正付属の小型フラッシュFL-LM3は、カメラのバッテリーでフラッシュをチャージする方式です。小型で省スペースなのですが、連写をさせるとコマ間に1秒以上必要になります。

今回のセットアップでは秒間5枚にセットして、実際の撮影間隔では1秒間に4枚の実用撮影枚数を実現できています。AOI UH-OM1のLEDフラッシュトリガーはいかに性能が高いのかがわかります。

AOI UH-OM1.

AOI UH-OM1.

マルチファンクションユニット

マルチファンクションユニット

AOI Q1RC/超高速リサイクルタイム

AOI Q1RCは小型ながら大容量のリチウムイオンバッテリーを採用していて、電圧は3.7V、容量は1500mA/hと高電圧で大容量です。日本で入手可能な一般的な水中ストロボは単三型のバッテリーを採用しているので、リサイクルタイム※ や発光可能枚数が小さく、Q1RCと比べると大きな差が生まれます。ストロボの選択にGN(ガイドナンバー)を重要視する方は少なくありませんが、水中での動く被写体の撮影では、ガイドナンバーより、リサイクルタイムと発光可能枚数が重要になってきます。

※一度フル発光させたのちに撮影可能状態になるチャージに必要な時間

AOI UCS Q1RC -WHT.

AOI UCS Q1RC -WHT.

バッテリー&チャージャーセット(FIX Li-ionバッテリー FEBT186531S)

バッテリー&チャージャーセット(FIX Li-ionバッテリー FEBT186531S)

陸上での使用に関してはご注意ください

陸上での使用に関してはご注意ください。水中使用時の場合にも、十分な間隔を取って撮影をお願いします。大光量での連写は発光部周辺の変色を生じます

Q1RC/LEDライト

AOI Q1RCには明るいLEDライトが標準装備されています。水中でのムービー撮影にも十分に使えるほどの光量を持ちます。このLEDライトを、ドーム型拡散板を併用して最小光量で柔らかく撮影環境を照らします。スポット的なターゲットライトを照射させると、その光を嫌う被写体も少なくありません。しかしQ1RCでは、広範囲に柔らかくほんの少しだけ撮影環境を明るくする、微妙な光量が得られます。

カメラの設定

ここからはカメラの設定をご説明します。

RCモードOFF

今までの連載では、私は散々「RCモードが素晴らしい」と言ってきまし た。しかし今回の撮影手法では、正確な光量調整が可能なリモートコントールより「瞬殺」的な要素を追及したモードを採用しました。もともとQ1RCは高速連写性能が高い水中ストロボです。現在発売されている水中ストロボの中で、唯一FP発光(ハイスピードシンクロ方式)に対応出来ているストロボです。OM SYTEMの「RCモード」を使用すれば1/8000の超高速のシンクロにも対応できるほど、高速連写性能に長けています。RCモードをOFFにすることで、UH-OM1は非常に短いトリガー発光を発射します。

撮影モード

露出制御はオート機能を使わずにフルマニュアルで撮影します。フルマニュアルと聞くとすごく難しい感じがするかもしれません。しかし、絞り値とシャッター速度は固定するので、操作するのはISO感度のみです。

AFターゲット

通常のマクロ撮影では、AFターゲットの大きさを最小のシングルにセットしますが、今回の動きの速い被写体の撮影では、被写体への正確なピント合わせより、被写体の検出スピードアップを図りたいのでAFターゲット「クロス」を使用します。

AFモード

AFモードは、撮影者の写したいタイミングでピントが合っても合わなくてもシャッターを切れる「コンティニュアスAF」をセットします。1枚1枚じっくりピントを合わせる従来の撮影手法とは、大きくかけ離れた撮影手法になります。

連写設定

連写の設定は、シャッター幕の開閉によるブレを防ぎ、フラッシュ使用時のシャッター速度を稼ぐ「低振動モード」を使用して、秒間5枚をOM-1に仕込みます。
実際の撮影では1秒間に4枚の連写速度になりました。

Q1RCの設定

いつもならQ1RCとOM-1をRCモード通信させますが、今回は単純なマニュアルシンクロを使います。Q1RCをマニュアルでシンクロさせるのに、ちょっとしたコツが必要です。

  • 1.ダイヤルをマニュアルの位置にセットする(1から6まであるが、どの位置でもOK)。
  • 2.左右のボタンを同時に押し電源をON。
  • 3.OM-1のドライブをシングルにして、単写で一度発光信号をQ1RCへ送る。
  • 4.Q1RC オートラーニング機能が働いて、プレ発光キャンセル0回でセットされる。
    同時に左右のボタンのLEDインジケーターが点滅してオートラーニング成功のシグナルを送ってくる。
  • プリ発光キャンセル機能
    • 青(左)と緑(右)が交互に点滅メモリー中
    • 青(左)と青(右)が同時に点滅メモリー成功
    • 青(左)と赤(右)が同時に点滅メモリー失敗
  • 5.OM-1のドライブを連写にして、Q1RCが連写で発光するのを確認。
    これで、Q1RCはOM-1の1回のトリガーに対して1回の発光を行います。
    Q1RCのマニュアル発光の光量調整は、ダイヤルの数字が大きくなると光量もアップします。

    • ダイヤル6: フル発光
    • ダイヤル5: 1/2発光
    • ダイヤル4: 1/4発光
    • ダイヤル3: 1/8発光
    • ダイヤル2: 1/24発光
    • ダイヤル1: 1/64発光

連写と被写体認識AFの検証

これまで解説してきた設定で、動きの速いハナダイの仲間を撮影しました。

レンズを泳ぐ被写体に向けて、ハナダイを追いかけます。被写体認識AFが効いてハナダイを追尾し始めたら、無造作にシャッターを切っています。
撮影した日時秒の表示から1秒間に4枚の連写速度を維持しながら、被写体にピントを合わせながら被写体を追尾しているのがわかります。これを繰り返していくと、何十枚かに数度魅力的なカットが手に入る。こんな感じの撮影の仕方です。まるでシューティングゲームで機関銃を撃ちまくる感じによく似ています。

今回のテスト撮影では、水深33m、約15分の滞在時間で約300カットを撮影しました。ピントが合っているカットが多い中、納得できるカットは数枚程度でしたが、今までのカメラではなかなかピントを合わせるのが難しい被写体でした。しかし、この手法を使うと被写体を脅かさずに自由に泳ぎ回るハナダイの撮影がたっぷりと楽しむことができます。ぜひ皆さんも機会があったらお試しください。

マリーンプロダクトの水中写真教室ではOM-1をお試しいただくことも可能です。ぜひお待ちしています。

オーシャナライブ11月8日水曜日20:00〜21:00では今回の動きの速い被写体のマクロ撮影について詳しく解説します。
皆さんのご参加お待ちしています。

インスタライブ

11月8日(水)20:00〜
※インスタライブは終了しました。
アーカイブは↓から

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writer
PROFILE
1964年生まれ。水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。 また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビング.ウェブ/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公式ホームページ https://shimizu.marine-p.com/ 公益社団法人日本写真家協会会員。
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