ミラーレス一眼 水中撮影徹底ガイドby清水淳(第13回)

絶景!渡名喜島の緑の絨毯とオレンジ色の小さな魚の群れをミラーレス一眼で撮影解説

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前回は、今が旬の沖縄・粟国島(あぐにじま)でのギンガメアジ撮影について解説しました。マニュアル撮影の部分が少し難しかったようで、何人かの方から簡単設定でお願いしたいとリクエストをいただきました。そのため今月は初心者にも分かりやすく、簡潔な撮影手法で解説していきます。

7月に入るとエキサイティングな粟国シーズンが終わり、沖縄は本格的な夏へと季節は移ります。慶良間も恩納村も透明度が上がり、沖縄らしさが満点の「真っ白い砂と生き生きとしたサンゴとのコラボ」を狙うのに最高の時期なのですが、渡名喜島(となきじま)の「緑の絨毯とオレンジ色の小さな魚の群れ」もピークを迎えます。この光景は世界のダイブサイトを探しても珍しく、渡名喜島の特有のシーンと言われています。というわけで今月は、渡名喜島のワイドの撮影の楽しみ方を解説していきます。

渡名喜島のダイビングポイント「五六ノ崎(ぐるくのさき)」とは

まずは渡名喜島のロケーションですが、那覇から北西の海上約58㎞に位置し、北に粟国島、南東に慶良間列島、西には久米島と、沖縄本島と周辺離島の中心にあります。面積は3.84平方㎞、 周囲12.5㎞、人口は360名ほどで、渡名喜島と入砂島の2島から成っています。

黒潮がまともに当たる渡名喜島では年間を通じて慶良間諸島より透明度が高いことが多く、「渡名喜ブルー」と呼ばれる、澄んだ濃い青の海が魅力の一つです。私の所属する写真教室のクルーザーで那覇から80分の距離です。渡名喜島のダイビングポイントの中でも「五六ノ崎(ぐるくのさき)」ではスターポリプと呼ばれる蛍光グリーンに光るサンゴが一面に広がり、その周囲をキンギョハナダイ、ハナゴイ、アカネハナゴイなどの色とりどりのハナダイの仲間たちが乱舞するシーンに出会えます。広い渡名喜島の中で、唯一このシーンを見られる場所が「五六ノ崎」なのです。

五六ノ崎

五六ノ崎

私のチームでは、この魅力的な光景を試行錯誤して一枚の作品に仕上げるために、一日3ダイブすべてのダイビングで「五六ノ崎」に専念して徹底的に攻めています。大潮から小潮など潮汐、太陽の差し込む角度、雨天や晴天など太陽のパワーの違いなど、環境によって最適な撮影の方法やアプローチの仕方を日頃から研究しています。2022年は一年間で50日を超える渡名喜島遠征を行ったほどです。

また「五六ノ崎」はワイド撮影だけではなく、マクロ撮影も楽しめるダイビングポイントです。ワイド撮影と同じ場所で、綺麗なハナダイの仲間、ハゼ、ソフトコーラルなどのマクロ撮影もじっくりと楽しめます。そういった背景から一つのダイブチーム内で、ワイド撮影者とマクロ撮影者が混在できる珍しいダイビングポイントとも言えます。また、スターポリプ以外にも色鮮やかなソフトコーラルが広がるエリアやカスミチョウチョウウオが群れるエリアなどもあり、多彩な被写体は撮影者を飽きさせません。

「五六ノ崎」での作例(OLYMPUSデジタルカメラ&AOIハウジング使用)

使用する撮影システムは、小型軽量でコンパクトデジカメであるTGの撮影システムを回り大きくしたサイズ感に似合わない実力を持つ「OLYMPUSデジタルカメラ&AOIハウジング」。センサーサイズが小さいマイクロフォーサーズ機ながら、フルサイズ機に負けない解像感と透明感のある画像が特徴的です。「いつかは、コンパクトカメラのTGから一眼へのステップアップを!」と考えている方に価格も手頃で携行にも困らないサイズの撮影システムは、性別、年齢を問わずすべてのダイバーの方におすすめです。

操作が簡単な水中ワイドモードで撮影したスターポリプ

操作が簡単な水中ワイドモードで撮影したスターポリプ

カメラ

OKYMPUS EM-5MKⅢ

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL8mmFishEyeF1.8PRO

撮影モード

水中ワイド

絞り値

F5.6

シャッター速度

1/125

露出補正

-1.3EV

ホワイトバランス

水中/+1STEP(R)-2STEP(G)

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -7

フラッシュ

ON/RC (M:1/4)

ISO

200

ストロボ

UFL-2×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

清水のメイン撮影システムOM-1で撮影したスターポリプとアカネハナゴイ

清水のメイン撮影システムOM-1で撮影したスターポリプとアカネハナゴイ

カメラ

OM SYSTEM OM-1

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED12-40mmF2.8PRO

撮影モード

P(プログラムオート)

絞り値

F4.0

シャッター速度

1/250

露出補正

-0.7EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -2

フラッシュ

ON/RC TTL:-1.7EV

ISO

200

ストロボ

AOI Q1RC×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

オレンジゾーンと呼ばれるソフトコーラル群生地

オレンジゾーンと呼ばれるソフトコーラル群生地

カメラ

OLYMPUS E-M5 MarkⅢ

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL12-40mmF2.8PRO

撮影モード

水中ワイド

絞り値

F5.6

シャッター速度

1/200

露出補正

-4.0EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -5

フラッシュ

ON/RC TTL:-0.3EV

ISO

200

ストロボ

UFL-2×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

水底45mまで一気に落ちるヘビードロップオフに咲くソフトコーラル

水底45mまで一気に落ちるヘビードロップオフに咲くソフトコーラル

カメラ

OLYMPUS E-M5 MarkⅢ

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED8mmFisheyeF1.8PRO

撮影モード

水中ワイド

絞り値

F5.6

シャッター速度

1/250

露出補正

-3.7EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -5

フラッシュ

ON/RC TTL:-0.3EV

ISO

200

ストロボ

UFL-2×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

カスミチョウチョウウオの群れは普通に見られる

カスミチョウチョウウオの群れは普通に見られる

カメラ

OM SYSTEM OM-1

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED8mmFisheyeF1.8PRO

撮影モード

P(プログラムオート)

絞り値

F8.0

シャッター速度

1/250

露出補正

-1.7EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -4

フラッシュ

ON/RC TTL

ISO

200

ストロボ

AOI Q1RC×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

カメラの基本の設定

まずは、カメラの基本設定はOM-1をベースに解説します。

オリジナル水中ワイドモードの設定

OM-1には水中専用の撮影モードが搭載されていないので、P(プログラムオート)モードを利用してオリジナルの水中ワイドモードに仕上げていきます。OKボタンを押すとスーパーコンパネが表示されます。そこを見れば、一目でカメラの設定状況が分かるようになります。

OM-1 スーパーコンパネ表示画面

OM-1 スーパーコンパネ表示画面

下記のように設定します。

撮影モード

P(プログラムオート)モード

オートフォーカスモード

C-AF

ISO

AUTO

フォーカスエリア

C1

ホワイトバランス

水中WB

仕上がり

水中

フラッシュ

ON

測光エリア

中央部重点

アスペクト

4:3

ドライブ

シングル

静止画画質モード

LSF+RAW

動画画質モード

4K60P

フラッシュ設定

OKボタンを押してスーパーコンパネを表示させた状態でINFOボタンを押すと、フラッシュ設定画面が表示されます。もう一度INFOボタンを押すと、通常のスーパーコンパネに戻ります。

OM-1 スーパーコンパネ表示/フラッシュ設定画面

OM-1 スーパーコンパネ表示/フラッシュ設定画面

フラッシュ設定

フラッシュA

TTL

フラッシュB

OFF

フラッシュC

OFF

フラッシュ

ON(⚡️マーク)

フラッシュ補正

ここを操作して補正値を変更可能

RC信号強度

Low

Channel

Ch1

フラッシュ発光モード(通常発光or FP発光)

通常発光

主要カメラ詳細設定

メニューボタンから、水中撮影で最低限設定が必要な項目をピックアップしていきます。

フラッシュRCモード

今回の撮影では、ストロボはAOI社Q1RCを使うので、フラッシュRC(リモートコントロール)はONにセット。

ピクチャーモードとホワイトバランス

OM-1には水中専用のピクチャーモードとホワイトバランスがあるので、それを使います。青被りを防いで発色の良い画像が手に入りますが、好みもあるのでその辺りは自由に選択していきましょう。もちろんRAWデータをJPEG画像と一緒に記録するモードで撮影をしていただき、撮影後にRAW現像を楽しんでも良いでしょう。

AFモード

動きのある被写体を撮影していくので、シャッターボタンを半押ししている間、ピント合わせを繰り返してくれるC-AFを選択。被写体認識は入れなくてもOK。

AFターゲットモード

ワイド撮影ですが、AFエリアは画面の全点ではなく、カスタムで全点より一回り小さいエリアを設定。

全点を使わない理由は、水面や水底にあるコントラストの高いところにAFターゲットを持っていかれないようにするためで、その部分を省いたエリアを作るのがコツ。要するに画面の端ギリギリには、主要な被写体がないということです。

設定の仕方は下記の通りです。

カスタム1にチェックを入れてセットする

カスタム1にチェックを入れてセットする

ダイヤルの設定

ダイヤルに露出補正とフラッシュ補正を割り振ります。

撮影の手順

フレーミング

撮影の手順としては、撮りたい主要な被写体が見つかったらどこまでフレームに入れるか、モニターを見ながら被写体までの距離を決めていきます。

背景の露出を決める

次に背景の露出を決めていきます。親指側ダイヤルを操作して、好みの背景色に仕上げます。露出補正値がマイナス側に大きくなるにつれ背景は濃いブルーになり、±0.0に近づくにつれて明るいブルーになります。緑のスターポリプも鮮やかなソフトコーラルも少し濃い目のブルーに仕上げると、メリハリが効いた絵になります。

仕上げる明るさには好みがあるので明るめに仕上げても、ドーンと背景を落としても良いので数パターン撮影すると良いです。背景の明るさを決めたら、次はフラッシュ光量を決めていきます。過多にならないように人差し指側ダイヤルを操作します。発光量を落としたい場合は、補正値をマイナス側に大きくシフトさせます。0.0EVから少しずつ数値を下げていき、好みの発光状態を求めます。

露出補整

露出補整-1.0EV.

露出補整-2.0EV.

露出補整-3.0EV.

露出補整-4.0EV.

フラッシュ補整

フラッシュ補整0.0EV.

フラッシュ補整-1.0EV.

フラッシュ補整-2.0EV.

フラッシュ補整-3.0EV.

ストロボのセッティング

外部ストロボは、AOI-Q1RCに最新型のドーム型拡散板を取り付けたタイプを使用します。セッティングする位置関係は、前回解説したギンガメアジの場合と同じです。ただし、今回は被写体に接近した撮影になるので、障害物を避けたストロボの位置合わせが必要になります。

カメラの位置が水底に近い場合には水底から離したり、ソフトコーラルに触れない位置に固定したりと毎回少しずつ工夫が必要になります。流れがある中を泳ぎながらの撮影ではないので、長めのアームで被写体からやや離した位置にストロボを配置すると、広範囲に配光され柔らかい照射が可能になります。

防水ハウジング

UH-OM1/AOI

レンズポート

DLP-05&ER-PN_PN-24/AOI

ブラケット

MPBK-02/MP

アーム

MP ARM 2L&18-25ADAPTER/MP

アームフロート

MP ARM FLOAT/MP

クランプ

MP CLAMP/MP

ストロボ

UCS-Q1RC-WHT/AOI

光ケーブル

MP MULTICORE OPTICAL CABLE/MP

渡名喜島のワイド撮影は通年楽しむことができますが、「五六ノ崎」は島の南側に位置しているので、梅雨明けの南西の風が強い日はエントリー&エキジットが難しくなります。梅雨が明けて穏やかな夏のシーズンには、快適なダイビングができます。

7月中旬から冬の季節風が強くなる11月下旬までは安定したシーズンと言えるでしょう。私が所属する水中撮影教室でも、シーズン中は毎週火、水、土、日曜日にかけて撮影ツアーを開催しています。興味のある方は是非お尋ねください。

▶︎清水淳の水中写真教室 渡名喜島ツアーはこちら

インスタライブで詳しく解説!

本連載では毎回記事掲載の次の日にインスタライブでみなさんの質問にもお答えしながら 解説していきます。今月は7月5日(水)の20:00からInstagramでライブを行います。最新情報をお届けしますので、皆さんのご参加ぜひお待ちしています。

インスタライブ

7月5日(水)20:00〜
インスタライブは終了しました。アーカイブはこちらから↓


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writer
PROFILE
1964年生まれ。水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。 また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビング.ウェブ/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公式ホームページ https://shimizu.marine-p.com/ 公益社団法人日本写真家協会会員。
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