デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼・コンパクトデジカメの違いとは?
最近、ダイビング中に何かしらのカメラを持っていく方がほとんどになったような気がします。もちろん私が運営している水中写真教室では100%の方が水中カメラを持ってダイビングをしています。その中でもOLYMPUSのTGシリーズやGoProが人気のようですね。
ダイビングを始めて水中撮影を楽しめるようになると、所有しているTGやGoProにアクセサリーをつけたくなりますよね。なぜかアクセサリーを付けるとより良い画像が手に入るような気がするし、お店の方もそう勧めてきます。気がつくとTG-6に大型のワイドコンバージョンレンズが付いていて、片側にLEDライト、もう片側に外部ストロボ。さらにハウジング中央にはGoProがマウントされている。
しかし、アクセサリーが増えると撮影システムの重量も大きくなり、水中での水の抵抗も増えます。また、選択したアクセサリーがカメラ本体の特性にマッチしているのか、疑問に思う組み合わせも多く見受けられます。
私が提案したいのは、カメラの本来の性能を最大限に活かしつつ、撮影の目的に合わせて水中で取り回しやすい撮影システム。それはミラーレス一眼とその専用ハウジングの組み合わせです。コンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)よりほんの少しだけサイズが大きくて、カメラ自体がコンデジよりも賢くて、それでいて画質や性能は一眼レフ譲り、しかもお洒落。
なぜ私がここまでミラーレス一眼を勧めるかを説明する前に、コンデジとミラーレスと一眼レフの違いを解説していきます。
デジタルカメラの種類
一般的に、水中で使用されるデジタルカメラは以下の5種類です。
デジタル一眼レフカメラ
ミラーレス一眼カメラ
コンパクトデジタルカメラ
アクションカム(GoProが有名)
360度カメラ
水中での使用目的は人それぞれですが、カッコ良い静止画を撮影したい方は、このジャンルでは「デジタル一眼レフ」、「ミラーレス一眼」、「コンパクトデジタルカメラ」の3つの中から選ぶことになります。というわけでこの3つのカメラについて詳しく見ていきます。
デジタル一眼レフ
今までプロカメラマンというと、私も例に漏れず、この「デジタル一眼レフ」を使ってきた。数多くのモデルがあり、数万円で手に入る安価なタイプから、100万円を超えるような超高価なタイプまで選択肢は多岐にわたります。最大の特徴はイメージセンサーのサイズが大きく、レンズ交換が可能な点です
ミラーレス一眼
最近人気が上がってきたのがこのミラーレス一眼。構造上、ミラーがなくなったために一眼レフと比べて奥行き方向にスリムになります。ムービー撮影に長けた機種も多く小型&高性能が両立しているところがポイントです。一眼レフの高い性能を活かしたまま、コンパクトデジタルカメラ並みに簡単な操作でサイズも小さいため、初心者にも扱いやすいのが特徴です。その上、ファッション感覚で持ってもらえるようなお洒落なデザインが多く見受けられます。どのカメラメーカーも今後は主力商品に位置づけしているので新製品も多々出てくるでしょう。
コンパクトデジタルカメラ
レンズ付きデジタルカメラ。レンズ交換ができないために超望遠や超広角には不向き。水中シーンではOLYMPUS社のTGシリーズはカメラ自体が防水耐圧仕様で、水中撮影に特化した撮影モードを持ち、メーカー純正の防水ケースが安価で購入しやすいのが特徴。操作が簡単で初心者ダイバーでもそれなりの写真が撮れるため、絶大な支持を得ています。
デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼、コンデジの違い
ではデジタル一眼レフ、ミラーレス一眼、コンデジを比較した時に、どういった違いがあるのだろうか。大きさはもちろん、レンズ交換の可否やイメージセンサーなどに違いがある。詳しく解説していこう。
デジタル一眼レフ | ミラーレス一眼 | コンパクトデジカメ | |
---|---|---|---|
レンズ交換 (レンズを変えることで表現の幅が広がる) |
できる | できる | できない |
イメージセンサー (大きいほど画質が良い) |
大きい | やや大きい | 小さい |
重さ・大きさ | 大きい | 小さめ | 小さい |
デジタル一眼レフとミラーレス一眼の違い
ミラー構造の有無が大きな違い。ミラー構造を無くしたミラーレスは、レンズの付け根からセンサーまでの距離(フランジバック)が近く作れるため、奥行き方向にスリム化されます。
さらにイメージセンサーにオートフォーカスのセンサーを埋め込む技術の向上により、ミラーレスでもオートフォーカスの性能が格段に進歩した。また、電子ファインダーの性能向上もあり、一眼レフとミラーレスの性能の差はほぼないに等しく、ミラーがないこと自体のメリットが増えています。特に暗いシーンでは電子ビューファインダーの方が被写体の視認性が良く、現在では真っ暗な環境で暗視装置のように明るくはっきりと確認ができます。この威力は水中環境での撮影でも大きく発揮されます。
ミラーレス一眼とコンデジの違い
コンデジはレンズが交換できない。これが最大の違い。水中はワイド撮影において、この違いは顕著に現れます。
水中では水と空気の屈折率の違いにより、画角が狭くなります。また水自体がフィルターになるので、被写体にぶつかる程に近付かねば綺麗に映せません。しかし近づくと被写体は大きく映りますが、今度は背景がなくなってしまいます。そのような環境から私たちプロカメラマンは、ワイド撮影で画角が180°にもなるフィッシュアイを使います。
コンデジはレンズ交換ができないためコンデジのレンズの前にワイドコンバージョンレンズ(以下、ワイコン)を装着して撮影しますが、その装着時にシャッターチャンスを失ったり、逆光でコンバージョンレンズとコンデジの間で乱反射が起こり、ゴースト※1やフレアー※2が激しく発生します。半水面が撮れない、ワイコンを装着することで光学設計上の画質低下が見られたりと、綺麗に撮るといったポイントではデメリットが多くあることは否めません。
さらにミラーレスに採用されているコンパクトな防水レンズポートに比べるとコンデジ+ワイコンは大型になり、期待するほど画角が広くないといった点もあげられます。投資金額はミラーレスの方が多少大きくなりますが、簡単に綺麗な水中写真が撮りたい方には、断然ミラーレスがお勧めです。コンデジ単体のようにBCのポケットにも入るほどコンパクトで、与えられた機能で記録的に撮影がしたいなら断然コンデジが有利。
※1 ゴースト:逆光時などにレンズ内に強い光が入ると、レンズ内で反射した光が絞りの形や楕円などとして映る光の像のこと。 単焦点レンズと比べるとズームレンズのほうがゴーストが発生しやすく、撮影時はレンズに光が直接当たらないようにカメラアングルに工夫が必要。
※2 フレア:太陽光などの強い光の方向にレンズを向けると、レンズ面やレンズの鏡胴内で有害な光が反射して発生する光のカブリが発生する。これにより、画像の一部または全体が白っぽくなり、シャープさを欠いた写真になってしまう。
イメージセンサーのサイズの違い
イメージセンサーは、レンズから入った光を電気信号に変換する半導体のこと。これによって光を画像や映像として再現することができます。そして、この大きさが直接画質の良さにつながります。
1/2.3型はTGシリーズのセンサー。コンデジには1/2.3型〜マイクロフォーサーズのセンサーが使用されていることが多いです。ミラーレスはマイクロフォーサーズからフルサイズが使用されており、OM-1やE -PL10などはマイクロフォーサーズを搭載しています。コンデジに比べてミラーレスはセンサーが大きく、主にデジタル一眼レフに使用されるAPS-Cやフルサイズのセンサーはさらにサイズが大きくなります。
一方で、最近デビューしたOMDS社のOM-1はマイクロフォーサーズセンサーですが、センサーの大きさを平面的に理論上大きくすることができない為に、新技術で多層型センサーを搭載してきています。もはやセンサーのサイズ=受光部の面積が成り立たなくなっていくかもしれません。
コンデジからのステップアップにはミラーレス一眼
コンパクトデジタルカメラは、常に身体から離すことのない携帯性が強みでしたが、今やスマートフォンにその立場を譲り渡しています。しかし水中にスマートフォンを持っていくわけにもいかないので、ダイバーにTGシリーズがここまで人気を博しているのは水中という特殊環境のおかげともいえるでしょう。
TGシリーズで水中撮影の楽しさを理解された方のステップアップの撮影機材は、現在、大型の一眼レフを選ぶ方が増えてきています。それは手軽に使い始められるミラーレスが存在していなかったからだと推測しています。
しかし、最近ではオリンパスのミラーレス一眼用にデザインされた、お洒落で手頃のミラーレスハウジングが登場してきています。たとえば、今回メインで使用するミラーレス一眼、E-PL1はカメラとレンズ合わせても10万円くらい、ハウジングとグリップを入れてもトータルで20万円くらいで手に入ります。操作もTGシリーズと同様で簡単。一眼レフ譲りの高画質な映像が楽しめるミラーレス一眼。これが私がミラーレス一眼での水中撮影をおすすめする理由です。
インスタライブで詳しく解説
今回からこのミラーレス一眼を使った水中撮影の楽しみ方を連載していきます。また、記事公開の翌日には20時からインスタライブにて詳しく解説をしていきます。ぜひ、ご質問ある方、もっと詳しく知りたい方はご覧ください。
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